帝国データバンク発行「COSMOSNEWS」
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江戸切子には偶然はない職人の質が商品価値を左右する
江戸切子に打ち込んで45年.作家根本幸雄さんは現在、茶道具というテーマを追いかけている。ルリ被せ切子魚紋手付水指は文字どうり手付きの珍しい代物だ。材料は一つ12万円。これを32個、発注した。「売れても赤字、売れなければなお赤字」。作品のためになら採算さえも犠牲になる。
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⇒色被ガラス切子花紋喰篭には
数千本のカットが寸分の狂いもなく並んでいる。一本削りそこなってもおしゃか,江戸切子は偶発的にも,期待以上にも、美しい姿を現すことがない。100パーセント必然性の手仕事だ。伝統工芸は、人の手から人の手へ技術が受け継がれていく職人の世界。”手”が商品の価値を左右するという意味で、人材がこれほど貴重な産業もない。
が、最近では慢性的な 後継者不足 で、東京都では昭和56年に伝統工芸品産業振興策を打ち出し需要開拓や人材育成にも支援,補助金の支給を始めた
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江戸切子に新しい波
そして、平成切子への新しい予感
こうしたなか根本ガラス工芸では、若い弟子が奮闘している。半年の待機期間の末、京都から上京してきたのは、中村和生さん。きっかけはちじんからもらった一枚の葉書、根本さんが開いた展示会の案内状だった。「以前はサンドブラストの仕事をやってました、板ガラスに高圧で砂を吹き付けて彫刻をする仕事です。江戸切子と組み合わせて自分なりの物を作りたい」、と。まずは10年・・・、しかし修行は時間ではないと覚悟を決めている。
根本さんの技が芸術の域にに達しているからこそ、江戸切子にはこうした新しい手が続くのかもしれない。
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一方、業界全体のボトムアップを図るべく東京カットガラス組合では、この二月にアメリカ、フランスの見本市にも出品、「作ったら売らなくてはだめ、職人とはいえ経営感覚を持たなくては」と。その点えどきりこはいかんなく発揮しているようです。またこれからも江戸の粋を彩ったは、次代の担い手を迎え、さらなる平成切子への途を刻み始めている |
PS,
「私が弟子入りして間もなくの初取材でした!
親方の顔があっての事とわかってはいましたが本に載せてもらえるというだけで、ちょっとうれしかった。」
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